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紅茶サイト Tea for Life別館

紅茶サイト「Tea for Life」のブログ部門です。 紅茶ニュース、商品レビュー、紅茶専門店レポなどをお届けします。 Tea for Lifeは紅茶をカジュアルに、もっと身近に楽しむ事を目指しています。
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セミナー参加記録「世界に羽ばたく国産紅茶」 まとめ+雑感

28日から31日まで、静岡県で開催されている世界お茶まつり2010、
3年に1度の開催で、今回が第4回となります。
4回目にして「初」と、仰っておりました、 紅茶セミナーが開催されました!

概要は以下(敬称略)
テーマ「世界に羽ばたく国産紅茶」
基調講演:「日本人と紅茶」 角山 栄
「中国紅茶の過去・現在」 王 亜雷
「世界に見る紅茶の消費動向」 磯淵 猛
「国産紅茶を作る」 杵塚 歩
パネルディスカッション:「世界に羽ばたく国産紅茶」
コーディネーター:小泊 重洋
パネリスト 王 亜雷・磯淵 猛・杵塚 歩


この錚々たる顔ぶれ!
聞いてきたお話を以下にまとめます。長くなると思います。

世界に羽ばたく?その前にやる事あるだろ!~基調講演~

基調講演でテーマにダメ出ししたセミナーは初めて見ましたwww
角山先生、遠慮無いっすなーw
その後、紅茶と日本人の関わりについてのお話です。

紅茶は明治維新後に入ってきたと思われているけれど、実は江戸時代に既に入ってきている
(当時の呼び名は「武夷茶」と聞こえたけれど合ってるかどうか不明)
開国後、海外に輸出するための品として国内で紅茶が生産された。
当時、国内における紅茶の需要はゼロであったため、完全に輸出用としての生産である。
しかし、長期間にわたる鎖国の影響で、誰に売れば良いか、どうやって売れば良いか、という情報が全くつかめずにいた。

最初、日本が作った紅茶は、当時新しい町を盛んに開拓していたオーストラリアに運ばれる。
英国主催の博覧会(※1 に参加を要請され、日本紅茶が優秀であるという評価を得る。

が、しかしここで日本は、目方を増やすために茶に砂を混ぜて売るという暴挙に出てしまう。
十数年かけて築いてきた信用はガタ落ち、オーストラリアから撤退する事となってしまう。


次の輸出先として挙がってきたのは、ロシア(シベリア方面)。
だが、ロシアでも、首都ではヨーロッパと同じようにリーフティーを飲んでいたが、シベリア方面では「磚茶」と呼ばれる、茶葉を固形に固めたものを飲んでいた。
なんとかこの茶葉の再現を試みるが、失敗。その後については定かではない。
総じて、海外に紅茶を売るといっても、そう簡単に行くものではない。

この敗因として、以下2点が挙げられるのではないか。
1)情報不足
紡績は、各国の事情やライバル商品のリサーチを良く行ったが、お茶は政府任せで自力で動こうとはしなかった。
多田元吉は現地に足を運んだが、彼だけである。

2)文化のおしつけ
お茶とともに、飲み方も強要した。砂糖・ミルクを入れるなんてとんでもない!と否定。
各国には各国の食文化があり、茶の飲み方があるはず。
だが、消費者となるべき人を置き去りにし、生産者による商品が作られた。
雑感:総じて、当時の状況と今の状況と、そう大きく違わないんじゃないの?と仰りたいのだと受け取りました。
一部で日本産紅茶が海外でナントカ賞を取ったとかいう話題が出てきておりますが、
現状では話題先行で、消費者が手を出したくなる商品とまでは行ってないもかもしれません。
とりあえず情報、1にも2にも情報だぜ!と、いう所でしょうか。
中国からヨーロッパに伝わったお茶は当初、”薬効がある”という名目で入った。
日本は茶の湯を作り、もてなしの文化をヨーロッパに伝えた。これがティーパーティーとなり、お茶は世界的に、人間関係を大切にする文化となった。
今、これが大きな曲がり角に来ている。

新しい文化を作り出す、新たなお茶スタイルが必要なのではないか。
雑感:古き良き、の一辺倒ではなく、新しい文化を見つめた、そしてそれに合ったお茶作りとは、角山先生はアグレッシブな方だなぁと感動したしました。
人間、現状維持が一番楽チンですよね。だから変化する世界に対して「今はダメだ、昔はよかった」と愚痴をこぼすわけですが、
そんな事やってる場合じゃねーぞと、新しい文化が出てくるんだからがっちり付いて行けと、
ビールが売れない、お酒が売れない、「若者のお酒離れだ」と文句を言うだけのところと、新しいアルコール飲料を発売して大ヒットを飛ばすところがある、この違いが良い例なのかもしれませぬ。

中国紅茶の過去・現在

こちらは、中国の紅茶についての紹介でした。
今まで、中国の紅茶っていったらキームンとラプサン、しか知りませんでしたが、細かく教えていただけました。

中国の紅茶は大別すると下記のようになっているようです。
以下、テキストではキームンの漢字を「ネ阝」門と記しておりますが、パソコンの変換上「祁」門で記させていただきます。
  • リーフティー(紅条茶)
    キームン…100年以上の歴史を持つ安徽省の紅茶、お茶に対する要求基準が厳格。最近3つの優秀な紅茶「祁紅香螺」「紅毛峰」「紅牡丹」が開発された。

    テン紅(テンはさんずいに眞)…雲南紅茶として知られている。

    シン紅(シンはもんがまえに虫)…福建省で作られる紅茶の総称、「坦洋工夫」「白琳工夫」「政和工夫」の三つの紅茶がある
     
  • ブロークンティー(紅砕茶)
  • 小種紅茶…いわずと知れた正山小種など
あと、非常に高価なお茶の写真を見せていただきました。
お値段なんと、じ、じじじ13万円とか!!
2010-10-29_0945.jpg
金色ですなぁ。
ゴールデンチップスばかりのものって、高い割にそのまま飲むとさして美味しくないんですよね、
何かと混ぜて飲むと非常に良いらしいですが。

中国では、紅茶の生産は笛もせず、減りもせずだったそうですが、2008年を期に祁門の生産を重視するようになり、若干増加中とのこと。
なお、消費に関しては上昇傾向。
特に若年層にとって紅茶を飲むことは「カッコイイ」事だそうです。
これ、後でも出てくるんですが、紅茶を飲むのがカッコイイから飲んでる、というのはどうも世界共通のようです。

世界に見る紅茶の消費動向

お次は消費に関する講演です。
磯淵先生曰く、現在の消費動向として

香り重視、味はライトに

という傾向がある。
数十年前はコーヒーも非常に重い味がしたそうですが、最近は味わいが非常にライト・・・「キレが良い」と表現しておりましたが、アロマ重視で軽やかな味わいになってきている。
その要因として、労働環境の変化(肉体労働が減り、パソコンが導入された)に伴う嗜好の変化が挙げられるのではないか。
そのせいか、紅茶茶園でも、ヌワラやダージリンなど、発酵過程を非常に軽くした「グリニッシュ」な味が主流になってきている。
雑感:そういえば買い付けを行っている紅茶店のマスターも、昔と比べて最近のダージリンはダメだ、という話をよくしているけれど、味が落ちた、のではなく、味が変化してきており、マスターの嗜好と合わなくなっているのかもしれない・・・とふと思うなど。

アメリカでは、ブレックファストミーティングという、朝、紅茶を飲みながら会議をするのが流行している。
しかしこれ、何故紅茶なのかというと、メタボにならない、自己管理ができていますというアピールによるものらしく、朝はいいカッコするために紅茶を飲んでいるが、一人になったら影でコーラを飲んでいるという話が。
紅茶は「いいカッコしぃ」のアイテムなのね…
アメリカにおいてはこの「For diet」が非常に重要視されており、お茶類を飲むのが流行しているとのこと。

人間は、お茶を飲むことより食べることにより注力する。
食べ物を美味しく食べるために、茶が選ばれている。
特に脂分の多い食事の場合、口の中をさっぱりさせるもの、ひとくち目の美味しさにもどれるもの、(そしてヘルシーなもの)として、茶が選ばれる。
モスバーガーにおいても、他の飲料部門は売り上げの減少も目立つが、紅茶は減少したことがない。
そればかりか、今年3月には二桁成長を成し遂げた。
雑感:国内では、ファストフード店の友として必ず「ウーロン茶」がある。紅茶は香りがあるからウーロン茶のほうが飯の友として選ばれそうな気がするんですが、そうでもないのかしら。
じわじわと売り上げが上昇したのならともかく、3月に二桁成長ってこりゃ絶対何かあったよね。なんだろう…

国産紅茶を作る

講演の最後は、実際に国産紅茶を作っている農家の方からの説明でした。
最近よく見かけるのは、
緑茶は一番茶は売れるけど、二番茶以降は買い叩かれるから紅茶にしよう、そうしよう。
というもので、消費者の立場からしてみれば
あまりこの表現に良い感情はもてませんでした。

でもそれには理由があったらしく
冬を越えてすぐに収穫される一番茶は虫による害がほとんどないけれど、
温かくなってくると「ウンカ」という害虫が発生し、茶葉をかじる。
このウンカにかじられた茶葉は、緑茶にすると目も当てられないけれど、紅茶にすると非常に良い香りが出る。
(ダージリンや東方美人などのお茶の香りにもウンカが関連している)

だから二番茶を紅茶にするのが適しているんだと。
ただし無農薬茶園に限る、ですが。
農薬を散布するとウンカが寄ってこないそうです。

ちゃんとこういう理由があるならそれを言えばいいのに!とものすごく思いました。
「売れないから紅茶にした」だと、誰も買いたがらないでしょう。
しかし、これを臆面もなく言ってしまうところに、生産者と消費者の溝があるような気がしました。
生産者の人は、もしかしたら正直であろうとしているだけなのかも…


そう感じたパネルディスカッションのまとめですが、
さすがに長くなりすぎたので次の記事にて!



※1 おそらく1880年のメルボルン万博であると思われる。明治13年に優秀賞を得たと説明があり、年号も一致する。
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